
相続手続きが必要になるのは、不動産だけではありません。預貯金・有価証券・生命保険・年金・自動車・著作権等、借金も含めて相続財産の一覧を作成しましょう。相続財産が多い場合には、相続開始後10か月以内に相続税の申告が必要です。相続財産よりも借金が多い場合には、3か月以内に家庭裁判所に申し立てをすれば、相続をしないとう手続きも選択できます(相続放棄)。
1.相続財産を調査するメリット
早い段階で相続財産を調査・特定する理由は以下のとおりです。
1.相続税の申告が必要かどうかを判断できる。
相続税の申告期限は相続開始後10か月以内です。
2.相続税の申告漏れがなくなる。
相続税の申告漏れの場合、延滞税・重加算税等が発生します。
3.借金が多い場合、相続放棄できる。
相続開始後3か月以内に家庭裁判所に相続放棄の申述をする必要があります。
4.遺産分割協議をスムーズに漏れなく行える。
後から相続財産が見つかると、もう一度遺産分割協議をしなければならなくなります。
5.相続手続きや名義変更がスムーズになる。
何通書類が必要かが明確になり、相続手続きを円滑に行えるようになります。
2.相続財産になるものとならないもの
相続財産になるもの
プラスの財産 | マイナスの財産 |
@不動産(土地・建物) | @借金(住宅ローン、カードローン等) |
A借地権、賃借権、地上権等 | A未払税金(固定資産税、所得税等) |
B現金、小切手、預貯金等 | B入院費、治療費 |
C株式、投資信託等の有価証券 | C保証債務 |
D特許権、著作権等の無体財産権 | |
E貴金属、美術品、自動車等の動産 | |
Fゴルフ会員権 | |
G電話加入権 | |
H故人が受取人の生命保険金 |
相続財産にならないもの
@死亡退職金 |
A遺族年金 |
B相続人が受取人の生命保険金 |
C一身専属権(扶養請求権、生活保護受給権、国家資格など) |
D使用貸借権=タダで借りられる権利 |
E仏壇、位牌、墓地、墓石などの祭祀財産 |
F葬儀費用、香典、弔慰金 |
G人的な義務(身元保証、信用保証、根保証債務など) |
自宅や郵便物を徹底的に調査しましょう。特に亡くなられた方と同居していなかった場合、漏れなく相続財産を把握するため、銀行に問い合わせたり、過去の確定申告書を確認したりといった作業が必要になります。